「ストリート・エイジ」を撮って
撮影は楽しかった。事務的な話になるが予定管理が甘かった。脚本を読んでもらって、それで撮影だが、告知が遅かったと思う。自分も自分で忙しかった(言い訳)こともありカット表をあまり練れなかった感もある。カット表を書いて、当日撮りながら調整をして、アドリブも込みで撮っていく。スケジュールは立てたので割とコンスタントに進んだ(台風で2回潰れたが)。もちろん当日ぐだったところもあり、そこは反省している。
本当に撮影は楽しかった。学校近くの路地で撮ったり、新宿に行って撮ったり、帰りで新宿御苑に寄ったり。カメラを持つときはやっぱり楽しい。超疲れるけど。演技はみんな上手かった。演劇部の人もいたけど、そうでない人も上手かった。本当は僕の方からこんな演技をとお願いして、キャラ構成も事前に練るべきだったかもしれないけど。とにかく楽しかった。撮影は当初4人、飛び入りで数カット分1人協力してもらい5人でやった。後で他の人が撮った映像を見て、「上手いなあ」と感動することも多かった。
ところで、撮影のときに最も反省すべきだったのは「音」である。ご覧になった方はご存知の通りこの映画極めて音質が悪い。外で撮ろうものなら環境音をはじめとする雑音に加え、夏だからセミがこれでもかというぐらい鳴く(割と本当に狂ってる)。アテレコをするとなっても、iPhoneのマイクは割と音質がいいが、外で撮る音とは声が変わってしまう。アテレコもやるなら結構労力がいる。環境音を拾わないマイクがあるので、撮影と同時にそれで撮るのがベストかもしれない。音が悪いとなかなか伝わらない。
撮影が終わって、順繰りで編集をした。これは当初の撮影班の4人でやったが、僕は動画編集はもっぱら素人で、不可逆圧縮とか、言葉だけは知っているけどうまくつかめず、なかなか苦労した。それから、実際にできた映像は(それでも削りに削りまくったつもりだが)72分のものだった。これを当日のために、46分に削らなければならない。同級生によると「シン・ゴジラ」もだいぶ削ったらしい。それにしても26分削るのは多い。
あと、編集の上でカットの怠慢がわかった。編集を考えて撮影をしないと音が不自然になっていろいろやばい。さらに、脚本順に取らなかったためミスで同じ位置で連続したカットを取ることも何回かあった。セミの種類がカットごとに違ってカオスだった。編集も技量だと思った。あとプラグインを入れてたと思ったら最後まで入ってなかった。ごめんなさい。大分aviutlに詳しくなれたと思う。だけどエクスポートできないのだけは最後まで解せない。
本筋に関わらないセリフを率先して削るしかなかったが、伝える過程で削るなら本筋に関わるか関わらないかというのはあまり関係なくて、どこが無駄かを見極めねばならない。が、ただでさえ短い時間で伝えようとしているものを削ると、やはりもっと伝わらない。出来上がった映像を数人に見せたが、「削ってる感がある」という感想がやはり多かった。残ってる動画データから72分のストリート・エイジを作って、一回見てみたい。限られた制約で伝えることの難しさがわかった。
ここまで見るとやっぱり映画を撮るのは難しい。Game Changer(同じ部屋の他の映画)とか二年目で上手かった。めっっっっちゃ面白かった。すごいなあと思った。もう1年やりたい。
編集は大分難航した。同時にアテレコである。ここまでくると佳境だが、アテレコがやはり難しい。iPhoneのカメラは良かったが、人によって音質が違い、やっぱり不自然になってしまう。まあしょうがない。実は、パソコンで流した時は違和感がすごかったが、実際に上映して見るとまだマシだった。上映した部屋のスピーカーの音質が若干荒かったのがむしろ功を奏して、環境音とうまく紛れてくれた。やり方としては、声が聞こえないシーンは声を当てて、元の声と混ざってしまうため元の音声を全て消し、代わりにフリー素材の環境音を同時に流す、という感じである。ところで音声を分割すると全部ずれるムービーメーカー、お前だけは許さないぞ。
そんなこんなで「ストリート・エイジ」は文化祭一週間前に完成した。46分45秒の映画だった。
真面目な感じで言うと映画は練りに練ったスケジュールのもとに撮るべきだと思う。編集と脚本と撮影が全部リンクしているので、編集のことを考えて撮影をし、撮影のことを考えて脚本を書き、脚本のことを考えて編集をしないといけない。
まあこんなに真面目に考えてもつらすぎる。大分大味にスケジュールをとっても面白い映画は作れると思う。でもさすがに今回は後先なさすぎたため反省している。それからGame Changerの人にも言われたがやはり絵コンテは大事らしい。
あと、Twitterでも指摘されていたが、コメディは多めに入れるべきだった。一回ギャグを入れるべきという話があって、割とガチで話し合い、コメディを幾つか入れようとしたが結局コメディ要素が薄かった。もっとコメディを入れないと見る側も疲れると思った。それでも序盤に入れた携帯電話のところは割と笑ってもらえて良かった。
音楽の話をしたい。ストリート・エイジの音楽担当は一人に任せた。本当にスケジュールがカツカツで申し訳なかった。コメディチックなシーンはコメディ音楽にしてもらえて、そこで緊張がほぐれたと思う。ピアノが死ぬほどうまい人で、生演奏で録音してもらったそうだ。本当にすごい。ラストの音楽は必聴(って言葉あるの?)である。
さらに、二日目には急遽音楽を三曲入れてもらった。編集が諸事情でできなかったため、その場で合わせるということになった。僕も是非聞きたくて最後の回で観たが、防災のシフトが入り開始10分近くで抜けることになった。本当に残念の極みだ。というか音楽もらって聴きたい。
そんなこんなで、文化祭当日は5回とも上映することができた。当日のことはTwitterとかで言ってたので略。「面白かった」と言ってくれた人が何人かいて嬉しかった。同様に、わりと批評をして貰えたのも嬉しい。ストリート・エイジ制作班の人々、B211の人々に本当に感謝であった。B211の他の映画(Game Changerと99.9)はクオリティに関してはトップ2みたいな感じで、上映会もとても面白かった。
改めて映画を撮るのは難しいと思う。それにこれだけ反省点が出る活動もなかなかない。脚本、撮影、編集、当日の宣伝まで反省だらけだと思う。だけど、それだけまだやれることがあるとも思った。また撮りたいと思う。こんなガチガチに書いたけどやっぱり楽しかった。最後の文化祭だったが、これだけやれたのは良かったと思う。出来としては全然だし、B211の他の映画に比べても本当にまだまだという感じだったけど。
一番の反省はやっぱり映像で伝えることだ。今回で言えば幾重もの葛藤を経ての細い細い成長をうまく書き表すこと、文字に表したそれを映像にすること、は文芸部の一員としてみてもやはり難しい。もっと大胆に大味にストーリーを作るのもいいと思うし、細かくやるなら繊細な努力が必要だと思う。個人的には文芸部で妥協しない批評の洗礼を受けたので、もっとやれるはずだと思っている。
「映画やらない?」みたいな話になったのは5月末で、それから9月末の今まで1年の3分の1を使った。超不完全燃焼だけれどとても良い経験だったし、また映画を撮りたいと思う。映像は楽しい。小説と別の楽しさがあった。それ相応の奥深さがあるのが映画だと思う。